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バンク時間が近づく午後2時をまわった頃、
オペレーションセンターではバンクに備えたミーティングが開催される。
にわかに電話が鳴りはじめる。
端末のプリンターが音を立て、無線が頻繁に入り始める。
オペレーションセンターの空気が一変する瞬間だ。
スタッフの表情や動きも変わり始める。
今日も成田のバンクが始まる。

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次々と航空機が成田に降りてくる。
到着を待ち構えるのがグラハンスタッフだ。
パイロットに合図を出しながら決められたスポットに誘導する。
迫ってくる巨大な航空機には
恐怖さえ感じることもあるという。
機体が止まると、次々に特殊車両が動き出し、
一斉にランプ作業がスタートする。
次の出発にむけ時間との闘いだ。

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成田空港は乗り継ぎのお客様が多い空港だ。
日本の玄関でありながら、
海外から海外へ国際ネットワークの要でもある。
よって到着便のオペレーションは、
外国籍のお客様対応が多くなる。
英語のコミュニケーションは大丈夫か。
私たちの対応がANAのブランドを支え、
日本のイメージをつくっている。

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成田空港におけるANA運航の司令塔となるのが
NOC(Narita Operation Center)だ。
集中管理体制で情報を共有しながら、
各部門間の調整や現場への指示を行う空港運営の中枢である。
バンク時間帯のNOCは独特の緊張感に包まれる。
それぞれのプロフェッショナルが連携して
現場のチームワークを支えている。

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グランドスタッフがお客様を探して走る姿。
テレビなどでもおなじみの光景だ。
もちろん楽な仕事ではない。
しかし、こういう行動の一つひとつが
成田空港のオペレーション品質を支えている。
そして彼らは口を揃えて言う。
みんなで力を合わせ、定刻で出発させられた瞬間が最高だと。
チームワークの力と達成感をなによりも感じられる仕事だ。

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出発予定時刻が近づく。
ゲートバゲージ4点。
グラハンスタッフに引き渡すため、PBB内を走る。
出発間際のこの時ばかりは人手が頼りだ。
ミスのリスクが高くなるため、
預かり個数は念入りに確認を行う。

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搭乗予定のお客様全員がゲートを通過したことを確認し、客室乗務員への引き継ぎが完了すると、ドアクローズとなる。
機体外部からドアを閉めるのはグラハンスタッフだ。
しっかり閉まっていることを確認したら、PBBを離脱させ、いよいよスポットアウト。
離陸への最終準備が始まる。

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空港地上業務の華といえばプッシュバックだ。
巨大な航空機に車両を接続し、誘導路まで押し出してゆく。
この姿に憧れて航空業界を目指す人もいる。
出発するお客様は様々。
いろいろな想いを乗せている。
安全で快適な空の旅を祈って、
出発する航空機に手を振るのが慣例だ。
手を振り返してくれるお客様の笑顔がたまらないのだという。